Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

都会でも、こんな奇遇は少い。銅山の中では有ろうはずがない。日の照らない坑の底で、世から、人から、歴史から、太陽からも、忘れられた二人が、ありがたい誨を垂れて、尊とい涙を流した舞台があろうとは、胡坐をかいて、黙然と互に顔を見守っていた本人よりほかに知るものはあるまい。

安さんはまた煙草を呑み出した。ぷかりぷかりと煙が出た。その煙が濃く出ては暗がりに消え、濃く出ては暗がりに消える間に、自分はようやく声が自由になった。

「ありがたいです。なるほどあなたのおっしゃる通り人間のいる所じゃないでしょう。僕もあなたに逢うまでは、今日限り銅山を出ようかと思ってたんです。……」

さすが山を出て死ぬつもりだったとは云いかねたから、ここでちょっと句を切ったら、

「そりゃなおさらだ。さっそく帰るがいい」

と、安さんが勢いをつけてくれた。自分はやっぱり黙っていた。すると、

「だから旅費はおれが拵えてやるから」

と云う。自分はさっきから旅費旅費と聞かされるのを、ただ善意に解釈していたが、さればと云って毫も貰う気は起らなかった。昨日飯場頭の合力を断った時の料簡と同じかと云うと、それとも違う。