Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうふ

坑夫

夏目 漱石

Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate

Aozora Bunko

と空とぼけている。その癖親方が怖いものだから、途中で待ち合せて、いっしょに連れて帰ろうと云う目算である。自分は石へ腰を掛けて薄笑いをしているこの案内の頭の上へ唾液を吐きかけてやろうかと思った。しかし自分は死ぬのを断念したばかりである。当分はここに留まらなくっちゃならない身体である。唾液を吐きかければ、喧嘩になるだけである。喧嘩をすれば負けるだけである。負けた上にスノコの中へぶちこまれてはせっかく死ぬのを断念した甲斐がない。そこで、こう云う答をした。

「どうか、こうか出て来ました」

すると初さんはなおさら不思議な顔をして、

「へえ。感心だね。一人で出て来たのか」

と聞いた。その時自分は年の割にはうまくやった。旨くやったと云うくらいだから、ただ自分の損にならないようにと云うだけで、それより以外に賞める価値のある所作じゃないが、とにかく十九にしては、なかなか複雑な曲者だと思う。と云うのは、こう聞かれた時に、安さんの名前がつい咽喉の先まで出たんである。ところをとうとう云わずにしまったのが自慢なのだ。随分くだらない自慢だが訳を話せば、こんな料簡であった。山中組の安さんは勢力のある坑夫に違ない。