Classici giapponesi con furigana
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こうふ
坑夫
Leggi 坑夫 (こうふ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 141.690 caratteri · 283 schermate
要するに、して見なければ分らないと考えた。たとい煩悶が逃亡につき纏って来るにしてもそれは自分の事である。あとに残った人は自分の逃亡のために助かるに違いないと考えた。のみならず逃亡をしたって、いつまでも逃亡ちている訳じゃない。急に自滅がしにくいから、まずその一着として逃亡ちて見るんである。だから逃亡ちて見てもやっぱり過去に追われて苦しいようなら、その時徐に自滅の計を廻らしても遅くはない。それでも駄目ときまればその時こそきっと自殺して見せる。――こう書くと自分はいかにも下らない人間になってしまうが、事実を露骨に云うとこれだけの事に過ぎないんだから仕方がない。またこう書けばこそ下らなくなるが、その当時のぼんやりした意気込を、ぼんやりした意気込のままに叙したなら、これでも小説の主人公になる資格は十分あるんだろうと考える。
それでなくっても実際その当時の、二人の少女の有様やら、日ごとに変る局面の転換やら、自分の心配やら、煩悶やら、親の意見や親類の忠告やら、何やらかやらを、そっくりそのまま書き立てたら、だいぶん面白い続きものができるんだが、そんな筆もなし時もないから、まあやめにして、せっかくの坑夫事件だけを話す事にする。