Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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つぼたじょうじのあじ

坪田譲治の味

尾崎 士郎

Leggi 坪田譲治の味 (つぼたじょうじのあじ) di 尾崎 士郎 (おざきしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 5124 caratteri · 11 schermate

Aozora Bunko

その文章の発表される以前にも、私は坪田君に会っているが、彼からそういうはなしを聴いたことはなかった。書いた後も、その雑誌を送ってくれたのは坪田君ではない。もし、私が読む機会を逸していたら、永遠に、そのことを知らずに終ったかも知れぬ。このような友情の底に光っている、つつましやかな人間の味は、美しいとか楽しいとかいう言葉で解説しつくされるものではない。甲州境いの遊郭の二階の階段に腰をおろして一夜をあかした坪田君の姿は神格化した一人間の、もっとも純粋になりきった荘厳な幻像でもあるが、それよりも私が驚嘆することは、彼の芸術の中で、このような自分の美しさが一つの戯画として描きだされてゆくことである。新旧の問題は別として、庶民の感情の中に真実の高さをうち立ててゆくものは坪田君の文学をおいてほかにはあるまい。これが単なる甘さでないことは、彼の童話にさえ、妥協と偸安がなく、人生に対する厳烈な批判が、ほのぼのとした影を投じていることをもってしてもわかる。どのような怒りも烈しさも、彼はこれを彼独自の日常観に還元して、爽やかな波調と、つつしみぶかい微笑をもって語ることのできる達人である。