Classici giapponesi con furigana
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ほうおんき
報恩記
Leggi 報恩記 (ほうおんき) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.803 caratteri · 30 schermate
曝し首に微笑が残っている、――あなたはそんな事を御聞きになると、御哂いになるかも知れません。わたしさえそれに気のついた時には、眼のせいかとも思いました。が、何度見直しても、その干からびた唇には、確かに微笑らしい明みが、漂っているのでございます。わたしはこの不思議な微笑に、永い間見入って居りました。と、いつかわたしの顔にも、やはり微笑が浮んで参りました。しかし微笑が浮ぶと同時に、眼には自然と熱い涙も、にじみ出して来たのでございます。
「お父さん、勘忍して下さい。――」
その微笑は無言の内に、こう申していたのでございます。
「お父さん。不孝の罪は勘忍して下さい。わたしは二年以前の雪の夜、勘当の御詫びがしたいばかりに、そっと家へ忍んで行きました。昼間は店のものに見られるのさえ、恥しいなりをしていましたから、わざわざ夜の更けるのを待った上、お父さんの寝間の戸を叩いても、御眼にかかるつもりでいたのです。ところがふと囲いの障子に、火影のさしているのを幸い、そこへ怯ず怯ず行きかけると、いきなり誰か後から、言葉もかけずに組つきました。
「お父さん。それから先はどうなったか、あなたの知っている通りです。