Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼちてんぼうてい

墓地展望亭

久生 十蘭

Leggi 墓地展望亭 (ぼちてんぼうてい) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 46.485 caratteri · 93 schermate

Aozora Bunko

この想いが、たったいま、自分をとりとめなくさせたのだった。

竜太郎は、あの娘に逢ったら、いきなり胸の囲みの中へとりこみ、今迄の、うらみつらみ、うれしさも悲しさも、何もかもいっしょくたに叩きつけ、人形のような、あの脆そうなからだを腕の中で押しつぶしてやるつもりだった。

あの嫋やかな手を執り、あの優しい声を聴き、あの夜のようにしっかりと抱き合いながら、その耳へ、

(結婚しようね。死ぬまで、離れなくともすむように)

と、囁やくつもりだった。

ひと言それを言いたいばかり、この長い間、身も痩せるような奔走をつづけて来たのだったが……。しかし……

しかし、もう、諦めなくてはならないのであろう。

※(始め二重括弧、1-2-54)リストリア王国を統べ給うべき、エレアーナ王女殿下※(終わり二重括弧、1-2-55)

ところで、こちらは、放蕩と世俗の垢にまみれた、何ひとつ取り得のない一介の国際的ルンペン。愚にもつかぬ厭世家。賭博者。

これでは、あまり種属がちがいすぎるようだ。いくらあがいたって、どうにもなるものではない。抱くどころか、傍にだってよれやしない。

とつぜん、思いがけないある思念が電光のように心の隅を掠めた。