Classici giapponesi con furigana
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だんのうらのおにび
壇ノ浦の鬼火
下村 千秋
Leggi 壇ノ浦の鬼火 (だんのうらのおにび) di 下村 千秋 (しもむらちあき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7170 caratteri · 15 schermate
すると、はたしてその夜も、法師はびわを持って、寺をひとり出ていきました。寺男はちょうちんに灯をいれて、そのあとをつけていきました。その夜は、雨もよいの陰気なくらい晩でありました。しかし、めくらの法師は、まるで目あきのようにさっさと歩き、いつか年よりの寺男をあとに、くらがりの中へきえてしまいました。寺男は、そのように早く歩く法師を、ふしぎにも気味悪くも思いました。
寺男は法師がたちよりそうな家を、一けん一けんさがしまわりました。が、どこにもいませんでした。寺男はこまって、ひとり、ぼつぼつ浜辺づたいに寺の方へ帰ってきました。と、おどろいたことには、狂ったようにかき鳴らすびわの音が、どこからか聞えてくるではありませんか。しかも、そのびわの音は、まちがいなく法師のひくものでありました。
寺男は、ただ意外に思いながら、音のするほうへ近づいていきました。いったところは平家一門の墓場でありました。いつか雨は降りだしていました。一寸先見えぬ闇夜、寺男は、両足が、がくがくふるえましたが、勇気をつけて、びわの音のする墓場の中へはいっていきました。そして、ちょうちんの灯をたよりに、法師をさがしました。