Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいしょくかもなんばん

売色鴨南蛮

泉 鏡花

Leggi 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.926 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

これは附添の雑仕婦であったが、――博士が、その従弟の細君に似たのをよすがに、これより前、丸髷の女に言を掛けて、その人品のゆえに人をして疑わしめず、連は品川の某楼の女郎で、気の狂ったため巣鴨の病院に送るのだが、自動車で行きたい、それでなければ厭だと言う。そのつもりにして、すかして電車で来ると、ここで自動車でないからと言って、何でも下りて、すねたのだと言う。……丸髷は某楼のその娘分。女郎の本名をお千と聞くまで、――この雑仕婦は物頂面して睨んでいた。

不時の回診に驚いて、ある日、その助手たち、その白衣の看護婦たちの、ばらばらと急いで、しかも、静粛に駆寄るのを、徐ろに、左右に辞して、医学博士秦宗吉氏が、

「いえ、個人で見舞うのです……皆さん、どうぞ。」

やがて博士は、特等室にただ一人、膝も胸も、しどけない、けろんとした狂女に、何と……手に剃刀を持たせながら、臥床に跪いて、その胸に額を埋めて、ひしと縋って、潸然として泣きながら、微笑みながら、身も世も忘れて愚に返ったように、だらしなく、涙を髯に伝わらせていた。

大正九(一九二○)年五月