Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいしょくかもなんばん

売色鴨南蛮

泉 鏡花

Leggi 売色鴨南蛮 (ばいしょくかもなんばん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.926 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

宗吉が世話になる、渠等なかまの、ほとんど首領とも言うべき、熊沢という、追て大実業家となると聞いた、絵に描いた化地蔵のような大漢が、そんじょその辺のを落籍したとは表向、得心させて、連出して、内証で囲っていたのであるから。

言うまでもなく商売人だけれど、芸妓だか、遊女だか――それは今において分らない――何しろ、宗吉には三ツ四ツ、もっとかと思う年紀上の綺麗な姉さん、婀娜なお千さんだったのである。

前夜まで――唯今のような、じとじと降の雨だったのが、花の開くように霽った、彼岸前の日曜の朝、宗吉は朝飯前……というが、やがて、十時。……ここは、ひもじい経験のない読者にも御推読を願っておく。が、いつになってもその朝の御飯はなかった。

妾宅では、前の晩、宵に一度、てんどんのお誂え、夜中一時頃に蕎麦の出前が、芬と枕頭を匂って露路を入ったことを知っているので、行けば何かあるだろう……天気が可いとなお食べたい。空腹を抱いて、げっそりと落込むように、溝の減った裏長屋の格子戸を開けた処へ、突当りの妾宅の柳の下から、ぞろぞろと長閑そうに三人出た。

肩幅の広いのが、薄汚れた黄八丈の書生羽織を、ぞろりと着たのは、この長屋の主人で。