Classici giapponesi con furigana
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なつ
夏
寺田 寅彦
Leggi 夏 (なつ) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6046 caratteri · 13 schermate
中学時代に、京都に博覧会が開かれ、学校から夏休みの見学旅行をした。高知から三、四百トンくらいの汽船に寿司詰になっての神戸までの航海も暑い旅であった。荷物用の船倉に蓆を敷いた上に寿司を並べたように寝かされたのである。英語の先生のHというのが風貌魁偉で生徒からこわがられていたが、それが船暈でひどく弱って手ぬぐいで鉢巻してうんうんうなっていた。それでも講義の時の口調で「これではブラックホールの苦しみに優るとも劣ることはない」といって生徒を笑わせた。当時マコーレーのクライヴ伝を講じていて、ブラックホールの惨劇が一同の記憶に新鮮であったのである。
酷寒の季節に酷暑に遭った例がある。高等学校時代のある冬休みに大牟田炭坑を見学に行った時のことである。冬服にメリヤスを重ね着した地上からの訪問者には、地下増温率によって規定された坑内深所の温度はあまりに高過ぎた。おまけに所々に蒸気機関があり、そのスチームパイプが何本も通っているのである。坑夫等はもちろん裸体で汗にぬれた膚にカンテラの光を無気味に反映していた。坑内では時々人殺しがある。しかし下手人は決して分らない。