Classici giapponesi con furigana
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ゆうがおのもん
夕顔の門
吉川 英治
Leggi 夕顔の門 (ゆうがおのもん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.956 caratteri · 29 schermate
二
田丸惣七の夫婦は、刎ね起きたらしく、遽に家の内には、狼狽する気配が聞かれた。
娘のお市の行状に就ては、田丸惣七夫妻も、薄々は一抹の気懸りを抱いていたものとみえて、
『さては、格之進めに唆かされて、明日を前に、立ち退いたものとみえる。……不! 不埓者めが!』
と、狼狽の中に、惣七の怒りの声が洩れたと思うと、軈て、
『おまえが悪いっ。女親として、知らずにおる事があるものか』
と、彼女の母親を、恐しい声で叱りとばした。
――わっと、泣き伏す声がした。お市の母が悔い泣くのである。
その泣き声を、惣七は又叱りながら、
『ば、ばかめ! 泣いていて済む場合か。遺書を見い、上方へ行くとある。わし達が寝む迄は、何の気振も見えず、この部屋の灯影に姿が見えた彼奴だ。――差しずめ、一刻も早く、手配をするのが肝要じゃ。まず斎地どのへ報らせに行け。岡村へも、野坂へも。――早く、早く』
二
――まだそう遠く迄は走っていまい。
それに夜半は、浜から出る船はない筈だから、足どりも、山越えを指して行ったに違いない。
楠平は、自分の若党部屋へもどって、慌しく身支度をする間に、そう考えた。
『旦那様。