Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よるのちょう

夜の蝶

山本 周五郎

Leggi 夜の蝶 (よるのちょう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.345 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

「ほんとのことを云っていいか」

また酔いつぶれた老人がどなった。

「云ってやろうか、おい」と老人は嗄れ声でどなった。「おれがほんとのことを云ってやろうか、いいか云っても」

その声に驚いたように、行燈にとまっていた蝶がぱっと舞いたち、囲いの中をくるくると飛んで、葭簀の上にとまった。

「その養子という人は……」と旅装の客が六兵衛に訊いた。「つまりお幸さんといっしょになったんですね」

「祝言もしたんですが、お幸さんは振って振って振りぬいたそうです」と六兵衛は云った。「側へもよせつけねえんだそうで、結局その養子には、よそから嫁を貰った。――持参金の付いた嫁さんだっていいましたが、ともかく、それからはふしぎに商売が順調で、いまでは先代より繁昌しているってことですよ」

「大凶は吉に返るっていうが」と与平が云った。「先代がいい人だったし、貰った養子が切れる旦那だし、あれだけの災難を乗り切ったのは、やっぱり運がよかったんだな」

「そして悪い運はお幸さんが背負っちまった」と、六兵衛が云った。「お幸さんが一人で災難を背負っちまったようなもんだ」

「おやじ」と向うで竹造が云った。