Classici giapponesi con furigana
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あやかしのつづみ
夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓
夢野 久作
Leggi 夢野久作怪奇幻想傑作選 あやかしの鼓 (あやかしのつづみ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 76.558 caratteri · 153 schermate
そうしておれたちのあとを……弔って……」
兄はドッカとうしろにあぐらをかいた。浴衣の両袖で顔を蔽うてさめざめと泣いた。私はやはり茫然として眼の前に落ちた革の鞭と短刀とを見ていた。
そのうちに未亡人の身体が眼に見えてブルブルと震え始めた。
「ウ――ムムム」
という低い細い声がきこえると、未亡人が青白い顔を挙げながら私と兄の顔を血走った眼で見まわした。私は何故ともなくジリジリと蒲団から辷り降りた。未亡人の白い唇がワナワナとふるえ始めた。
「す……み……ませ……ん」
とすきとおるような声で云いながら、枕元にある銀の水注しの方へ力なく手を伸ばした。私は思わず手を添えて持ち上げてやったが、未亡人の白い指からその銀瓶の把手に黒い血の影が移ったのを見ると又ハッと手を引込めた。
未亡人は二口三口ゴクゴクと飲むと手を離した。蒲団から畳に転がり落ちた銀瓶からドッと水が迸り流れた。
未亡人はガックリとなった。
「サ……ヨ……ナ……ラ……」
と消え消えに云ううちに夫人の顔は私の方を向いたまま次第次第に死相をあらわしはじめた。
兄は唇を噛んでその横顔を睨み詰めた。
自動車が桜田町へ出ると私は運転手を呼び止めて、「東京駅へ」