Classici giapponesi con furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Leggi 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) di 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 108.647 caratteri · 215 schermate
大仏鋳造の詔が発せらるる十年前の造営であるから、今日まで実に千二百十一年の星霜に堪えた東大寺最古の伽藍なのだ。そして不空羂索観音はこの御堂の本尊であり、天平随一の傑作といわるるみ仏である。
私はこのみ仏を拝するたびに、いつもその合掌の強烈さに驚く。須弥壇上に立つ堂々一丈二尺の威躯は実に荘厳であり、力が充実しており、また仄暗い天井のあたりに仰がれる尊貌は沈痛を極めている。慈悲の暖かさも悟達の静けさもみられない。口を堅くむすんで何かに耐えている悲壮な表情である。その一心の願が、逞しい肩と両臂をとおして、やがて胸の上に堅く合わされた強烈な合掌となるのであろう。飛鳥仏にみられる微笑は全く消え去っている。白鳳の温容もない。むしろ受難の相貌と云ってもいいものがうかがわれる。私には、このみ仏が身をもって天平の深淵を語っているように思われる。何に耐え、何を念じているのであろうか。
当今の古美術研究家はこの大事について何事も語ってはくれない。美術の様式論をもって仏像を鑑賞するという当世流行の態度が、一切を誤ったと云えないだろうか。仏像は彫刻ではない。仏像は仏である。