Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たいくうまかん

大空魔艦

海野 十三

Leggi 大空魔艦 (たいくうまかん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.098 caratteri · 63 schermate

Aozora Bunko

彼等が周囲からささえているのは、最後まで望みを捨てなかった無電装置だ。

彼等は室外に出ると、只ならぬあたりの光景に気づいて、一せいにうむと呻った。いつも見なれてきた平らな甲板は、今は立て板のように傾いている。またずっと下にあった氷原が、手にふれんばかりの近さに盛りあがっている。

「おい、もう一秒も余すところがないぞ。思いきって氷上にとびおりろ」

と大月大佐は必死になって怒鳴った。

「わっ、――」

一同は無電装置を舷から外に押しだした。そいつはうまく氷の上にひっかかった。その代り隊員の姿は氷の下に隠れた。

「おい、なにをぐずぐずしているんだ。船首の方へ匍いあがれ。そして氷にとびつくんだ」

大佐は手すりにぶらさがって叫んだ。

もういけない。めりめりという船腹をくだく物凄い音響だ。これに入り乱れて、氷片を交えた北極の黒い海水が、ごぼごぼと下から泡をふいて湧きあがる。

逃げそこねた隊員は、最後の力をふりだして、滑る甲板をよじのぼる。

黒影が一つ、また一つ、氷上にとびだしてゆく。

「もういないか、誰だ、残っているのは」

大月大佐は、隊員の身の上を心配して、まだ舷の手すりにつかまっている。