Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.722 caratteri · 286 schermate
この湯槽は石灰分がくッついているせいか、どれも白くおぞんでいて、湯の水も白いように見えるが、流れ出す湯口を見ると無色透明で入浴の度毎に飲むと利き目があるということだから、お雪も今、それを少しばかり飲んでみました。
いつもならば、こうしていると誰か入りに来るのですが、今日は全宿の大部分は熊狩りに出動してしまっているし、三階の牡丹の間へ間替えをした浮気ッぽい後家さん主従は、別段物争いの音も立てず、炉辺で話をしているのは国学者と俳諧師ですから、どう間違っても掴み合いになる心配はなし、昼日中が太古のような静かさで、お雪は自分一人がこの温泉にいるような、いい気持になってしまいました。
そのうちに、お雪ちゃんが思い出しておかしくてたまらないのは、この間お雪が、竜之助から護身の手を教わったという話を聞いて、宿の留守番の嘉七という若い剽軽者が、
「わしらはハア、剣術もなにも知らねえが、敵が前から斬りかけて来た時は、ハア、額で受けらあ、後ろから斬りかけて来た時は背中で受けまさあ」
とすました顔でいったことです。
お雪は、その時の嘉七の言葉と顔付がおかしいといって、ころげるほど笑いましたが、今もそれを思い出すと、ひとりおかしくなって、おかしくなって、ことに嘉七の額が少しおでこだものですから、額で受けらあという言葉が一層利いたので