Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.272 caratteri · 313 schermate
あまりのことに拍子抜けがして、自分ながら呆れ返ってしまいましたけれど、それでもわたしの頭に残った今の怖ろしさが、全く消えたのではありません。
それから、何ともいえないいやな気持になって、あれほど好きな無名沼を逃げるように帰って来ました。
明日からは、たとえ、どのような、よい天気でも、あの沼へ行くことをやめようと思いながら。
弁信さん――
わたしは、その無名沼から逃げ帰る途中、あの低い笹原のところまで来ますと、ばったりと浅吉さんに行き逢ってしまいました。
『浅吉さん、鐙小屋ですか』
と、わたしが訊ねますと、浅吉さんは何とも返事をしないで、すうっと通り過ぎてしまいました。
多分、沼の近所にある鐙小屋の神主さんのところへ、あの人たちはよく出かけるそうですから、わたしが、そういって訊ねてみたのに、浅吉さんは一言の返事もせずに通り過ぎてしまったものですから、わたしも気になりました。気のせいか知ら、今日のあの人の顔の真蒼なこと。いつも元気のない人ではありながら、今日はまた何という蒼い色でしょう。まるで螢の光るように、顔が透き徹っていました。だもんですから、わたしは、あんまり気になって振返って見ますと、おや、もうあの人はいないのです。