Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 159.272 caratteri · 313 schermate

Aozora Bunko

た。

髪を高島田に結った妙齢の美人は、窓から面だけを出して、駒井の方を向いて嫣乎と笑いました。駒井としても驚かないわけにはゆきません。

「お前は誰だ」

駒井が窘めるようにいい放っても、女はべつだん驚きもしないで、

「御存じのくせに。ほら、あの、鋸山の道でお目にかかったじゃありませんか」

「うむ」

「わかったでしょう。あなたは、あの時の美い男ね」

「うむ」

「中へ入れて頂戴」

駒井は、あの時の狂女だなと思いました。高島田に結って、明石の着物を着た凄いほどの美人。羅漢様の首を一つ後生大事に胸に抱いて、「お帰りには、わたしのところへ泊っていらっしゃいな」といった。

それが、どうしてここへやって来たのだ。保田から洲崎まで、かなりの道程がある。ともかく、駒井もこのままでは捨てておけないから、椅子を立ち上って、

「ここはいけない、あっちへお廻りなさい」

「いいえ、あたしここから入りたいの」

「いけません、入るべきところから、入らなければなりません」

「いいえ、表には人がたくさんいるでしょう、犬もいるでしょう、ですからあたし、ここから入りたいの」

「表には誰もいやしませんから、あちらへお廻りなさい」