Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

だいぼさつとうげ

大菩薩峠

中里 介山

Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 254.021 caratteri · 495 schermate

Aozora Bunko

なものでございましたが、それを唄い出しているうちに、米友さんの気持が急に変ってしまいました、その変ったことがわたくしの勘にはありありと分ったのです。あれを唄いかけて、あのところまで来ますと、何か昔のことを思い出したのに違いありません、たとえば故郷の山河が眼の前に現われて来たとか、幼な馴染の面影が前に現われたとかいうようなわけで、何かたまらない昔の思い出のために、米友さんは、あんなに急に気が荒くなってしまって、さっさ押せ押せ、下関までも、と自暴に漕ぎ出してしまったのです、それに違いありません。それがあんまり変ですから、わたくしもこの頭の中で、米友さんの胸の中を、あれかこれかと想像しているうちに、おぞましや、自分も自分のつとめを忘れてしまいました。あなたに舟を漕いでいただいて、わたくしが水先案内をつとめねばならぬ役廻りでした、それを一時、わたくしはすっかり忘れてしまったのです。眼の見えないわたくしが、水先案内を致すというのも変なものでございますが、眼は見えませんでも、私には勘というものがございまして、天にはお天道様というものもございます、このお天道様のお光と、この頭の中の勘というものとを照し合わせてみますると、方角というものはおおよそわかるものでございます。