Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.374 caratteri · 345 schermate
と答えて天幕の中へ現われたのは、湯の谷の温泉で、きわどい時に拾い当てた山方の娘のお喜代であります。
お喜代は、紺飛白のさっぱりした着物をつけて、赤い帯をしめ、手拭を髪の上に垂らして、手甲脚絆のかいがいしいいでたちで入って来ました。その張りきった体格と、娘でありながら、まだ子供のような無邪気な初々しさが、思わず七兵衛を見惚れさすものがあります。
「ああ、わしは今、駒井様へ行ってお指図を受けて来たところなんだが、もう、みんな働きに来るだろう、喜代ちゃん、そこへ火を焚きつけておくれよ、お湯をわかしといてもらいてえ」
「はい、承知しました」
極めて柔順に、この子は、七兵衛の言いつけを聞いて、急ごしらえの築立竈の下へ、薪を折りくべて火をたきつけ、やや遠いところの水汲場へ行って、バケツへ水を満たして来て、釜に入れたりなど、まめまめしく働く。その働くさまを、七兵衛は、こちらから煙草をのみながら、じっとながめておりましたが、
「ああ、ここにも娘盛りがいる」
と言って、何か深く考えさせられたものがあるようです。
お喜代は、あんなにして七兵衛が貰い受けて来たというよりも、変った意味の前世の約束で、無理に背負わせられて来たのだが、こうなってみると、有力な拾いものであります。