Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠
中里 介山
Leggi 大菩薩峠 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 104.838 caratteri · 204 schermate
「何者だ!」
白雲として、自分ながらかなり慌しい挙動であると思ったが、事態、そうしなければならない場合を、先方は全く静かなもので、
「先生、お静かに」
と、たしかにうずくまった奴が、説教でもはじめるように物を言いかけました。
「何だ、何者だ、貴様は」
白雲は半分起き直って、刀を引寄せていました。そうして、もう睡眼がパッと冴えた眼で見ると、行燈の下にうずくまっている奴は、旅の合羽を、肩からすっぽりと着て、頭には手拭を米屋さんかぶりに捲いている。
「先生、お約束によって参上いたしましたが、少々遅くなって相済みません」
でも、まだ白雲には、はっきりと納得ができない。
「貴様、どろぼうの端くれだな、貴様たちと約束をした覚えはない」
大抵のどろぼうならば、この豪傑画家の白雲から一喝を食えば、尻尾を捲くであろうのに、こいつに限ってどこまでも、いけ図々しい。
「お忘れあそばしましたか、日中、あの名取川の川原でお目にかかりました、蛇籠作りの老爺でございます」
「うむ、そうか」
白雲がまたここで、そっくり返らざるを得ません。
そうか、そんならそうと、なぜ早く言わないのだ。それにしても、いよいよ変な老爺だ、いったい、いつ、どうして、この間に、誰に案内されて入って来たのだ――というその咎め立ても、こうなっては気が利かない。