Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
「珍しいなア、太棹をやっている」
全く珍しいことです。日本アルプスの麓の、ほとんど人音絶えた雪の中で、よし温泉場とはいいながら、不意に太棹の音を聞かせようなんぞとは、心憎いいたずらには相違ない。
といって、必ずしも、それは妖怪変化の為す業でもあるまい。何といっても温泉場は温泉場である。宿の主が気がきいて備えて置いたか、或いはお客のある者が置残して行ったのを、いい無聊の慰めにかつぎ出して、手ずさみを試むる数寄者が、この頃の、不意の、雑多の、えたいの知れぬ白骨の冬籠り連のうちに、一人や二人、無いとはいえまい。
例のお神楽師にいでたつ一行のうちにも、然るべき音曲の堪能者が無いという限りはありますまい。
三
だが、その手は何を弾いているのだか、正直のところ、机竜之助にはよくわからない。
しかし、なかなかの手だれであることだけはよくわかる。
そうだなあ、お染久松の野崎村のところに、あんな三味線の調子があったっけ――といって、それには限るまい。三味線の調子にもそれぞれ型というものがあって、それをいいかげんのところへ、つぎはぎして、そうして一曲をでっち上げるのだ。