Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠10
中里 介山
Leggi 大菩薩峠10 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 285.635 caratteri · 558 schermate
このごろでは、
「与八をだますと、ばちが当る」
誰いうとなく、そんな評判が立つようになりました。
というのは、与八をだまして利用した者の、最後のよかったものは一つもないからであります。
与八が、ばかにされ通しで、ほとんど絶対におこらないのを見て、おこるだけの気力のないものと見込んだのが、おこる者よりも、おこらない者のむくいがかえっておそろしい、というように気を廻したものが現われるようになりました。
だが、この男に、微塵も復讐心の存するということを信ずる者はありません。
表面、愚を装うて、内心睚眦の怨みまでも記憶していて、時を待って、極めて温柔に、しかして深刻に、その恨みをむくゆるというような執念が、この男に、微塵も存しているということを想像だもするものはないのであります。
馬鹿は馬鹿なりでまた強味があるものだ、と人が思いました。
今でも、与八が馬に荷物をつけて通りかかるのを見て、
「与八さん、後生だから、ちっとべえ手伝っておくんなさい、与八さんの力を借りなけりゃ、トテも動かせねえ」
といって、何か仕事をたのむことがあると、与八は二つ返事で承知をして、そのたのまれた仕事にかかるのですが、その時は、まず馬をつないで、それから馬につけた荷物を、いちいち取下ろして地上へ置いてから、はじめてたのまれた仕事にかかるのであり