Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
「それから、あの乗鞍ヶ岳には、天安鞍というのがあったそうでございます、その鞍を馬につけて乗れば、どんな馬からでも、落ちることがないと申します」
「うむ」
「槍ヶ岳には、天日矛というのがございました、その矛先は常に盛んなる炎に燃えていたそうでございます」
「ははあ」
「それから越中の立山――ごらんなさい、あの雄大な、あの険峻な一脈が、あれが立山連峰でございます。立山の上には、天広楯というのがございました、敵にその楯を向けると、敵の大小によって、楯が伸び縮みをするという楯でございます……」
「お雪ちゃん、お前は何でもよく知っていますね」
「わたしが、そんなに物識りなのではございません、みんな白骨温泉の炉辺閑話の受売りでございますから、買いかぶらないように、お聞き下さいましよ」
ここで、今までは、神仙化されていた娘の生の姿が、ちょっとひらめいたので、あぶなく現実に帰ろうとした竜之助の眼が、立山連峰の一つの、最も鋭く、最も険峻なるものに、ひたと吸い寄せられてしまいました。
一旦、少しばかりハニかんで、人間味を見せたお雪が、ここで以前の、超現実の説明者の地位に戻りました。