Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
いないわたしの身の上でございます――はい、甲州、有野村の藤原家を尋常に、お暇をいただいて出て参りました、御縁があればまた立帰って、御厄介になると申し残して出て参りました。お銀様のことでございますか。あのお方は泣いておいでになります、あれ以来、毎日泣きつづけておいでになります。あのお方のは、悲しくて泣くのではございませんよ。無論、嬉しくて泣くのではありません。どうして、泣くのです。どうして、今になって泣かねばならないのですか。火事の前後のことは、わたくしがここで申し上げませんでも、皆様、たいてい御推察のことと存じます。あの前後には、お銀様は泣けなかったのです、それから三日目でしたか、あの日からお銀様が泣き出しました。泣き出すと、どうしても止まることができません、わたくしも、それをお止め申すことができません、大河の堰を切ったように、あの方が泣き出してしまいました。そうしてあれから、焼残りの土蔵の二階に、泣き伏したままでいらっしゃいます。誰もそれを慰めて上げるものがありません、無いのではありません、誰も近寄ることができないのです。わたくしだとて、その通り、あの方の涙を堰きとめるほどの力は、とうてい持合せがございませんのです。