Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
伊太夫は、供養の時も、慢心和尚に向って、更に辞を卑うしてこの事を訴願して、娘の教誡をたのみましたけれど、和尚はこの時ばかりは、丸い頭を左右に振って、
「あれは、わしが手にも負えぬ、わしも、あの娘にはおそれいる」
と言ったきりで、もう取りつく島がないのでありました。
そこで、伊太夫は、小坊主の弁信を手放したことを、返す返すも悔い、あとから追いかけさせてみたけれど、行方は更に知れません。やむを得ずんば第二の幸内をと、暗に当りをつけてみたけれども、その選に当ったものはほうほうの体で逃げ帰り、それがためにかえって、お銀様の侮蔑と、暴虐とを高ぶらせたに過ぎませんでした。
だが、人間はいつもそう張りきった心で、精髄を涸らし尽すようにばかりは出来ていないと見え、侮蔑と、暴虐と、呪詛の塊であるらしいお銀様という人も、時とすると、再び以前のように泣きくずれることがあります。
小春日和に、どこともなく裏山を歩いて、森を越え、村を越えて、高いところへ出ると、そこに腰を下ろして、じっと山河を見つめているお銀様の眼から、ひとりでに涙の泉の湧き溢るるのを見ないということはありますまい。