Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
かわいそうに、飢えたる者が酒を飲ませられて、それで腹が満ちたりと喜んでいる。それよりか悲痛にして、なお滑稽なのは、抜からぬ顔で行燈から出て来たピグミー先生で、得意の鼻をうごめかしながら、
「どうです、この方が、ズッと景気がよいじゃありませんか」
しかも、机竜之助は何とも答えません。
「先生」
ピグミーは、恐る恐る竜之助の膝の方に近よって来ました。極めて小さいから、顔面の神経はよくわからないが、その挙動によって見ると、何の事だ、人間界の卑怯者と、諂諛の者とが得てして行いがちの、狡猾な、細心な、そのくせ、妙に洒然として打解けたような物ごしで、膝の傍へ寄って来たが、刀の鞘の方から遠廻りをして、腰へ近づいたかと思うと、いきなり、刀の下げ緒の結び目を、両手でしっかりと抑えてしまい、
「エヘヘヘヘ」
と、薄気味悪い追従笑いをしました。
「何だ、何をするのだ」
竜之助も、彼が挙動の卑劣さ加減に、呆れたものらしい。
「エヘヘヘヘ、おあぶのうございますよ、無暗にお抜きになってはいけません、ただ手入れをなさる分にはかまいませんが」
「あぶないと思ったら、そっちへ寄っていろ」
ピグミーを振り飛ばすと、竜之助の刀が、スルスルと鞘を出でました。