Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠11
中里 介山
Leggi 大菩薩峠11 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 368.567 caratteri · 720 schermate
昔の人はあの波打際を歩いたのです、そうして海を見ながら、人の世の旅路のあわれを、つくづくと思いやったものに違いありません。いかに鳴海の潮干潟……ほんとに、この海が、どのくらい、古代の旅人を悩ませたかわからない」
と女の人が言いました。
「そうだろうなあ」
と米友が極めて無器用に合わせました。これが弁信ならば、右の女人の感懐に答えるのに、更に幾倍の感傷と、饒舌とを以てしたでしょうが、米友には、その持合せがないから、勢い、その分をまで、女の人が受持たねばならなくなる道理です。
「古代の人は、海道に近く旅路を急ぎながら、海の波に足を洗わせながら、この涯りなく広い海をながめて通ったものでしょう。そこでたまらなく旅路の哀れというものを感じたのでしょう。赤壁の賦というのにありますね、渺たる蒼海の一粟、わが生の須臾なるを悲しみ……という気持が、どんな人だって海を見た時に起さずにはいられないでしょう。まして、こんな物哀しい夕暮なんぞに、啼きわたる千鳥の音でも聞きながら、海を見ると泣けるのも無理はないと思います」
「うむ……そうだろうなあ」
「それは、わたしが山国にばっかり育っていたせいではありますまい、誰でもその通り、海を見ると悲しくなるのです。