Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate

Aozora Bunko

と言い出しました。

しかし、それは無理である。生きてる以上は育つなというのは無理です。そのくらいなら寧ろ生れるな――ということの抜本的になるには及ばない。だが、米友としては、「生れなけりゃよかったんだ、君公も、おいらも――いや、あらゆる人間という人間が生れて来さえしなけりゃ、世話はなかったんだが」という結論まではいかないで、ひときわの懊悩をつづけておりますと、ふっとまた一つ聞き耳を立てると、この懊悩も、空想も、一時ふっ飛んでしまい、思わず凝然として眼を注いだのが、例の、その以前から静まりきったところの納戸の一間でありました。

四十一

しかし、今ここで勃然として気がついて、凝然として眼を注いだだけでは、米友として、もう遅かったのです。

たしかに、あの一間の中から脱け出したに相違ないと信ぜられるところの一つの遊魂が、三所権現の方に向うて漂いはじめたのは、それよりずっと以前のことでありました。

それは黒い着物の着流しに、両刀を横たえて杖をつき、そうして面は頭巾に包んでおりました。

この深夜、鶏は鳴いたが、闇はようやく深くなり行くような空を、またしても、時ならぬ登山者が一人、現われたと見なければなりません。