Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
その昔、甲府城下の闇の夜半の例を以てしても……
さすがに長浜の町の人々はもう先刻心得たもので、それ故にこそ、あの通り昼の如く町々辻々の隅々まで、篝火を焚いている。してみると、虎視眈々たる物影も、迂濶には足を踏み下ろせない道理です。
長浜の町の辻の方にばかり気をとられていてはいけない――ちょうどここに突立って虎視耽々たる物影が、最初たどって来た方面の道から、春照からの表参道を外れてお中道かと疑われたそれと同じ道を、こちらへ向って、平和な会話の音をさせながら、たどたどと歩み来るたった一つの提灯がありました。
「お母さん、あれが長浜の町ですか」
「そうです」
「篝火が盛んに燃えていますね、あれ、陣鉦、陣太鼓の音も聞えるではありませんか」
「さあ、お前、あれにつれ、あんまり勇み足になってはいけませんよ、勇士はいかに心の逸る時でも、足許を忘れるものではありません」
四十三
その話しながら来る場所が、こちらの突立っている覆面の人に、追々近く迫って来るのです。
こちらでは、その人の話し声も、提灯の光も、それがだんだん近寄って来ることも、先刻御承知のはずなんだが、あちらでは、ここにこの人のいることを想像だもしていないことは確かです。