Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠16

中里 介山

Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate

Aozora Bunko

ただ断末魔の眼に入るものは、今もしきりに降っている豪雨が、小屋の庇から滝のように流れ落ちて、それが水溜りに無数の泡を立てて、芋を揉むように動揺しているだけのものです。

「泡、泡、泡……泡んぶく、おお泡んぶく、敵を取ってくりょう、泡んぶく、お前敵を取ってくりょう、敵を取ってくりょう」

と叫びながら、とうとう番頭の手にかかって無惨の死を遂げてしまいました。

ここまで来ると、若い番頭も全く度胸が据わって、主人の死骸は、あたりへ穴を掘って、手際よく埋めてしまい、証拠に残りそうなものも、ゆっくりと整理して、かえってはればれしい気持で、あのたっぷりしたお内儀さんの面影だけを頭にうつらせて、胸を躍らせながら、甲州路に向いたのです。

そうして、途中で程よく主人の位牌をこしらえて、主家へ戻って参りました。

「お内儀さん、まことに残念なことを致しました、悲しいことでございます、旦那様は、ふとした病が嵩じて旅でお亡くなりになりました、私がついておりながらも、こればっかりはどうすることもできませんでございました、どんな用心を致しましても病にだけは勝てないのでございます。でも、せめての心やりは、わたくしが御最期の時まで附ききりで、できるだけの御看病を致しましたことだけでございます。