Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
というのは、その現われた人の風采が、全く想像も及ばなかったからのことです。つまり、そこへ今ごろ現われたのは、盛装した一個の西洋婦人でありました。
その西洋婦人が単に西洋婦人でありさえすれば、神尾としても、これほどまでに面負けがして狼狽するはずはなかったのです。西洋ホテルの食堂へ西洋婦人が現われるのは、茶室の中へ茶人が出入りするのと同じことなんです。それに現に眼の前にも、髪の赤いのと、目玉の碧いのとの一対がいるのですから、そう顛倒するには当らなかったのですが、いま現われた西洋婦人が、極めて滑らかな日本語を使って、
「殿様、お待たせ申しました」
これに驚かされたのです。なお、くどく言えば、その流暢な日本語の技倆に驚かされたのではない、その言葉を操る口元と、面を見て、あっと動揺したのです。
「お絹ではないか、貴様は……」
あの化け物めが、すっかり髪を洋式の束髪に結ってリボンをかけ、服装は上をつめて下を孔雀のようにひろげた、このごろ新板の錦絵に見るそのままのいでたちで、澄まし返って「殿様、お待たせ申しました」がよく出来た! こいつが! と主膳は躍起となったが、まさかなぐりつけるわけにもゆかない。