Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠16
中里 介山
Leggi 大菩薩峠16 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 268.946 caratteri · 520 schermate
「そうら見ろ」
仏頂寺弥助は、勇仙からつきつけられた色縮緬の胴巻に、赭顔を火のように映えらせて、
「こりゃ只者でござらぬ」
まさしくは三百両の金を今まで呑んでいたその脱殻なのだから只者ではない。右の大金をたんまりと呑んでいたばかりではない、なまめかしい人肌にしっかりとしがみついていたほとぼりがまだ冷めていない代物。
仏頂寺は、高師直が塩谷の妻からの艶書でも受取った時のように手をわななかせて、その胴巻を鷲掴みにすると、両手で揉みくちゃにするようなこなしをして、
「さてこそ、まだ遠くは行くまい」
「は、は、は」
と、丸山勇仙の笑い声が白々しい。
「まだ、温味があるか」
と丸山から揶揄い気味に言われて、仏頂寺弥助は友禅模様にいよいよ面を赤くはえらせ、
「まだ遠くは行くまい」
「炭部屋の中をたずねてみさっしゃい」
「ばかにするな」
丸山勇仙も冷かし気味であり、揶揄い口調であるけれども、その、は、は、は、と冷笑するところに、なんとなくすさまじい響がする。仏頂寺弥助に至っては、右の縮緬の胴巻を面へこすりつけるようにして、面と手をわななかせたり、また、急に思い出したように、忙しく前後左右、原、藪、木立を見透したり、どうしても落着かないものになっている。