Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠19
中里 介山
Leggi 大菩薩峠19 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 319.771 caratteri · 617 schermate
「誰かいるのかい」
と村正のおじさんが駄目を押しつつ、一歩、入口の戸前にたた彳んで見ると、
「うーん、酔った、酔った、女が欲しいよ、女を連れて来ないか、女が欲しい」
こう言って、夢中でうめいている。果して爛酔の客が戸惑いして、のたり込んでいたな、厄介者だが、処分をしてやらずばなるまいと、お節介者の村正どんは、一歩足を踏み入れて、
「戸惑いをなされたな、ここは御簾の間で、開かずになっている、お部屋はどちらで、連衆は?」
と、おどすように言いかけると、
「いや、戸惑いはいたさぬ、御簾の間を所望で来た身じゃ、酩酊はしたが待ち人が遅い――ああ酔った、酔った、こんな酔ったことは珍しい、生れて以来だ、まさに前後も知らぬ泥酔状態だわい」
爛酔の客が、またもかく言って唸り出した。その気配を見ると、部屋の真中に大の字になって、いい気持に紅霓を吹いているらしい。
だが、爛酔にしても本性は違わない。その唸るところを聞いていると、この御簾の間を名ざしで遊びに来て、承知の上でここに人を待っている、待っているというよりは、待たせられている。酒はもう充分だが、この上は女が欲しいと、露骨に渇望を訴えているようにも聞きなされる。