Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
恐怖のうちにお玉の眼に映じたものは、その人が水色無地の着物を着て、坐って俯向きになっていたから、蓬々と生えた月代だけが正面に見えて、面は更に見えませんでした。
俯向いている下に耳盥が一つあって、俯向いているのはその人が今、巾でもって面の一部分を洗っているのであることを知ったのは、やっと中へ入っていっそう気を鎮めた後のことであります。
「小島様、お使の衆を連れて参りました」
「それは御苦労」
一句、地獄から引いて来るような声。
その声だけで、なんとなくお玉は胸へ氷を当てられたように感ずるのです。
「…………」
お玉は何とも挨拶のしようがないからそこに腰をかけたままで、俯向いた人の方を盗むようにして見ると、面の一部分を洗っていると思うたのは眼を洗っているのでありました。真鍮の耳盥へ、黒い巾を浸しては、しきりに眼のところへ持って行って、そこを叩いているのでありました。
ああ、この人は眼が悪い。
お玉は直ぐに、そう感づいてしまいました。米友から手紙を読んでもらって、手紙を受取る人が病人であろうとの暗示は得ていましたけれど、眼が悪いのだとは気がつきませんでした。