Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
ほどなく兵馬の姿は大湊の町の船着場へ現われました。あの場ではお絹を怒らせて袖を振り切ってここへ来てしまいました。
「兵馬さん」
お松は船の仕事着ではなく小綺麗の身扮をして、船着場の茶屋に待っています。
「今日はどちらへおいでになりました」
「二見の方へ」
「藪の中やなんかをお通りなさったらしい、こんなに草の実がついておりまする」
お松は兵馬の袴の裾についた草の実や塵を払ってやる。
「松林の中を無暗に歩いたものだから、ずいぶん息も切れました」
兵馬は腰掛に休んで茶を飲む。
「あ、それからお松、今日はまた珍らしい人に会ったぞ」
「珍らしい人とおっしゃるのは?」
「お前の親類じゃ、当ててみるがよい」
「わたしの親類と申しましても……」
お松にも親類の人もある、世話になった人もあるけれど、それらの記憶を呼び起すとあまり好い心持はしないのでした。
「それはお前にとっては怖い人ではない、どちらかと言えば懐しい人だ、懐しい人だろうけれど、油断はできない人だ」
兵馬はわざと廻りくどく言ってみせると、
「まあ、誰でしょう、わたしの親類でそんな人――もし本郷の伯母さんでは……」
本郷の伯母さんという人は、お松を島原へ売った人、不人情で慾が深くて、そのくせ口前のよい人。