Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Leggi 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.601 caratteri · 387 schermate
「やあ、それを見つけられてはたまりませんな」
「何だ、酒か」
それだけは隠しておきたかった。惣太がいま猪の肉を煮ていたのは、実は取って置きのその濁酒を一杯やりたかったからであります。肉の方は、いくらでも御用に立てるが、酒の方はかけ換えがないから、それを見つけ出された惣太は苦い面をしました。
「うむ、猟師、人が悪いぞ、これを隠して一人でこっそり飲もうなどは不届きだ……一升はしかと認めた、茶碗を出せ、さあ、おのおの」
肉の煮える間、一升の濁酒は十一人の口を潤おしている。
それを傍で見ている惣太の顔色はない――惣太が、こんな危ない時世に、山奥へわけ入って猛獣を追い廻しているのも、この一升が生命なのであります。
それをみすみす人に飲まれて、自分は指をくわえながら、料理方を承わっている辛さ口惜しさというものは容易なものではないのでした。
「猟師、猟師」
肉の煮えた時分に惣太の姿が見えなくなっていました。
「猟師、どこへ行った」
呼んでみたけれども返事がない、一同は少しばかり怪しんだけれども、さして気にも留めず、それから寄ってたかって猪の肉を突く。
「猟師はどこへ行った」