Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Leggi 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.112 caratteri · 362 schermate
それだと思ったから、お銀様はいよいよ痛快に堪えませんでした。痛快というよりはこの時のお銀様は、まさしく神尾主膳の残忍性が乗りうつったかと思われるほどに、いい心持になりました。うめき苦しむ神尾にも、驚き騒ぐ福村にも、冷然たる白い歯をチラリと見せたきりで、井戸桁へ近寄って、一方の縄をクルリと廻してゆるめると、海老のようにハネ上っている一方の釣瓶が少しく下って来たから、手を高くさしのべてそれを取り下ろして見ると、お銀様の想像した通りに、神尾主膳の額の肉片は、べっとり釣瓶の後ろに密着いていました。
お銀様は、その肉片と神尾主膳の面と、うろたえ騒ぐ福村の挙動を見比べながら、徐かに縄を引いてみると手ごたえがあります。そこで釣瓶を卸して、両の腕の力をこめて綱を引いてみると、いよいよ重い手ごたえがあります。生きてはいまいけれども、この綱の重みによって見ると、いま投げ込まれた盲法師は、井戸の底でまだこの縄に取付いていることはたしかです。盲法師は最後の死力で、縄に取りついたまま、その手をはなさないでいるものらしい。そうだとすれば、この縄を手繰ることによって、その死骸を引き上げることもできる、とお銀様はそう思ったものらしく、全力をこめて縄を手繰り出しました。