Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Leggi 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.112 caratteri · 362 schermate

Aozora Bunko

そうでなければ松明であります。焚火としても松明としても、それが時ならぬ火であることが、怪しいといえば怪しい火です。

尾花の中から、その怪しい火に頭を向けて眼を注いでいるらしい竜之助は、たしかに眼が見えるものです。その手には僧侶の持つ如意のような尺余の鉄棒を、後ろにして携えていることも、その時にわかりました。

野分の風が颯と吹き渡ると、薄尾花が揺れます。薄尾花が揺れて高原が海のように動くと、その波の間を泳いで、白衣の鮮かなのが月に背を向けて、山の頂上に近いところから中腹へ下りて来ることは来るが、果してそれがこの高尾の山へ来るのか、それとも右へ廻って与瀬、上野原の方へ下りて行くのか、そのことはまだわかりません。見ているうちにその火が消えました。消えたのではない、隠れたのでしょう。

大見晴らしからながめた小仏の全山は、坊主山とは言いながら、それを与瀬へ下りようとする中腹には林があります。多分、火の光はその林へ紛れ込んだものでしょう。

果してその松林の中を人が通ります。怪しい火と見たのは、その人の手に持っていた提灯でありました。その提灯とても、二つ引両の紋をつけた世間並みの弓張提灯で、後ろには「加」