Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Leggi 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.112 caratteri · 362 schermate
「もし」
そこで立ち上って、雨戸の傍へ行って、
「誰だエ」
「もし、少々、ここをおあけ下さいまし」
「お門違いじゃございませんか」
米友も小声で言いました。しかし門違いにも門違いでないにしても、弥勒寺の門を入って人を尋ねるとすれば、ここはその一軒だけです。この深夜に、わざわざここまでとまどいをして入り込む人のあろうとも思われません。
「いいえ」
外の女はこう言いました。それでよけいに、米友の疑問を増したものと言わなければなりません。盲目の剣客と二人して隠れているこの弥勒寺長屋、長屋とは言うけれども近所隣りが無い、まして女の近寄るべきはずのところではありません。しかしながら、おとなう声はまさしく女でありますから、
「誰だい、何の用があって、誰を訪ねて来たんだ」
「はい、友造さんという方がおいでになりますか」
「友造は……」
おいらだが、と言おうとしたが米友は思案しました。おれを訪ねてこの夜更けに来る女というのは、全く心当りがないことはない。かの間の山のお君も、老女の家のお松も、ここに近いところにいるはずだ。昨日、不意にムク犬がここへ姿を見せたことを思うと、或いはそれらの女性のうちの一人が忍んで来たものと思えば思われないことはない。