Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Leggi 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 242.044 caratteri · 477 schermate
つまり、燈火の消えたのを平気で、その暗い中で相変らず面を剃っていたのであります。
「どうぞ、何か一品お召し下さいませ」
改めて、土産物売りの女は自分の座へ戻りました。
「土産を買ってやるから、この首を剃ってくれないか」
「ええ、よろしうございます」
そこで机竜之助は剃刀の柄を向うにして、物売女の方へ突き出すと、物売女は気軽に受取って、
「お面の方はお済みになりましたか」
「ああ、面は済んだから、この襟足のところだけを願いたい」
「はい、お明りをこちらへ向けましょう」
女は剃刀を取って、竜之助の後ろへまわりました。
「御逗留でございますか……」
「一夜泊りだ」
「左様でございますか」
女は慣れた手つきで、竜之助の首筋に剃刀を当てて後ろに撫で卸すと、
「景気はどうです」
と竜之助がたずねますと、
「おかげさまで、この下の諏訪は、あんまり不景気ということがございません。丁度、甲州筋からおいでの方も、中仙道を和田峠からおいでの方も、塩尻を越えて木曾の旅をなさるお方も、伊那の方からおいでの方も、みんなここへお立寄りになりますのに、諏訪のお社というものがございます上に、この通り温泉が湧いて出ますものですから……」