Classici giapponesi con furigana
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ぐじんのどく
大雷雨夜の殺人 他8編
小酒井 不木
Leggi 大雷雨夜の殺人 他8編 (ぐじんのどく) di 小酒井 不木 (こざかいふぼく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.456 caratteri · 55 schermate
それきりわたしたちは、紳士のことを忘れてしまいました。ところが夕食後、わたしたち二人が伊豆山神社の階段を登ろうとすると、件の紳士が上から下りてくるところでした。紳士は千人風呂の中にいたとは打って変わった馴れ馴れしい態度で話しかけ、
「あなたがたはもう長らくご滞在ですか?」
と訊ねました。
「いえ、まだ十日ばかりにしかなりません、あなたは?」
とわたしが言うと、
「今日の正午に着いたばかりです」
その時、海から急に冷たい風がどっと吹いてきて、ぽつりぽつりと大粒な雨が落ちはじめ、なんだかいまにも大雨がありそうでしたから、わたしたちは神社に登ることをやめ、紳士とともにあたふたS旅館に引き上げました。
「どうです、わたしの部屋へ来ませんか」
と紳士が言ったので、わたしたちは遠慮なく海に面した紳士の部屋に押しかけました。その時、雨は飛沫を飛ばすほどの大降りとなり、初島のあたりにはもはや何物も見えなくなって、夜の色がにわかに濃くなっていきました。
わたしたちは明け放した障子の敷居のところに胡坐をかいて、いろいろな世間話をしましたが、突然紳士は真面目な顔をして、
「今日、一緒に風呂へお入りになった女の人はお近づきなのですか」