Classici giapponesi con furigana
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てんしゅものがたり
天守物語
泉 鏡花
Leggi 天守物語 (てんしゅものがたり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.593 caratteri · 42 schermate
此方は鷹狩、もみじ山だが、いずれ戦に負けた国の、上、貴女、貴夫人たちの落人だろう。絶世の美女だ。しゃつ掴出いて奉れ、とある。御近習、宮の中へ闖入し、人妻なればと、いなむを捕えて、手取足取しようとしたれば、舌を噛んで真俯向けに倒れて死んだ。その時にな、この獅子頭を熟と視て、あわれ獅子や、名誉の作かな。わらわにかばかりの力あらば、虎狼の手にかかりはせじ、と吐いた、とな。続いて三年、毎年、秋の大洪水よ。何が、死骸取片づけの山神主が見た、と申すには、獅子が頭を逆にして、その婦の血を舐め舐め、目から涙を流いたというが触出しでな。打続く洪水は、その婦の怨だと、国中の是沙汰だ。婦が前髪にさしたのが、死ぬ時、髪をこぼれ落ちたというを拾って来て、近習が復命をした、白木に刻んだ三輪牡丹高彫のさし櫛をな、その時の馬上の殿様は、澄して袂へお入れなさった。祟を恐れぬ荒気の大名。おもしろい、水を出さば、天守の五重を浸して見よ、とそれ、生捉って来てな、ここへ打上げたその獅子頭だ。以来、奇異妖変さながら魔所のように沙汰する天守、まさかとは思うたが、目のあたり不思議を見るわ。――心してかかれ。