Classici giapponesi con furigana
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てんさいけいまい
天才兄妹
野村 胡堂
Leggi 天才兄妹 (てんさいけいまい) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9891 caratteri · 20 schermate
「有難う、ミスター・ベーカー、友人の心持が解って、同情して下さる方が一人でもあったら、友人もどんなにか心安く死んで行けるでしょう」
「死ぬ? その友人が亡くなられたのですか」
「そうです。可哀相に――そのヴァイオリンを痩せ衰えた手で撫でながら、三日前にとうとう死んでしまいました」
「それは、お気の毒な」
「死ぬ前に私を病床へ呼んで、
(このヴァイオリンを、私が死んだら君へ形見にやり度いが、受取ってくれるだろうね――ミュンヘンの競売で、是を買った時、丁度君も一緒に居たっけ、なア――あの時分は楽しかった。立花君、僕は不幸にも日本へ帰ってから、このヴァイオリンを一度もひく事が出来なかった、そのくせ、今までは惜しんで、人にひかせもしなかったが、今死ぬという時、つくづくこのヴァイオリンの音が聴き度くなった、すまないが君、そこで静かな曲を二つ三つひいてくれないか、私はそれを聴き乍ら、安らかに死んで行き度い――)
こう私の友人は言うのです。私はそんな心持にはなれませんでしたが、友人の最後の望みに反くわけには行きません。友人の手からストラドヴァリウスを受取って、私が諳んじて居る限りの、静かな淋しい曲をひいてやりました。