Classici giapponesi con furigana
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たじゅうとそのいぬ
太十と其犬
長塚 節
Leggi 太十と其犬 (たじゅうとそのいぬ) di 長塚 節 (ながつかたかし) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.769 caratteri · 32 schermate
致命の打撲傷を受けた頸のあたりはもう黒く血が凝って居た。裸にされた犬は白い歯を食いしばって目がぎろぎろとして居た。毛皮は尾からぐるぐると巻いて荒繩で括られた。そうして番小屋の日南に置かれた。太十は起きた。毛皮は耳がつんと立って丁度小さな犬が蹲って居るように見える。太十はそれが酷く不憫に見えた。彼は愁然として毛皮を手に提げて見た。
「おっつあん可哀想になったか」
と二人はいった。
「それじゃあとはおらが始末すっからな」
棒をそこへ投げ棄てて二人は去った。血は麦藁の上にたれて居た。三次の手には荒繩で括った犬の死骸があった。太十はあとでぽさぽさとして居た。彼は毛皮を披いて見て居た。彼は思いついたように自分の家に走って木の板と鉈とを持って来た。蜀黍の垣根に括った竹の端を伐って釘を造ってそうして毛皮を其板へ貼りつけた。悲しい一日が太十の番小屋に暮れた。其夜彼は眠れなかった。妄念が止まず湧いて彼を悩ました。うとうとして居ると赤が吠えながら駈け出したように思われてはっと眼が醒めたり、鍋の破片へまけてやった味噌汁をぴしゃぴしゃと嘗めて居る音が聞えるように思われたり、自分の寝て居る床の下に赤が眠って居るように思われたりしてならなかった。