Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かのうせいのぶんがく

夫婦善哉

織田 作之助

Leggi 夫婦善哉 (かのうせいのぶんがく) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.834 caratteri · 94 schermate

Aozora Bunko

いいかえれば、再び古座谷某の智慧が必要だった……。

あきれた。いや、正直なところ、以前のことなぞ忘れた顔で、よくもぬけぬけおれのところへやって来られたものだと、さすがのおれもあきれた。が、それよりも、

「――ひとつ社会奉仕をしてみようと思うんですよ」

と、いけ酒蛙酒蛙と言ったのには、一層あきれてしまった。

何が社会奉仕なもんか。いってみれば、施灸巡業で一儲けしようというだけの話じゃないか。一里八銭の俥よりも、三里の灸銭の方がぼろい……と言えば、済むところを、社会奉仕とは、どこを押せば、そんな音が出るのだと、おれはおかしかったが、そういうおれもおれで、話をきくなり、

「――よし、来た」

と、ひどく弾んで、承諾してしまったのだから、世話はない。

普通なら、横面のひとつも撲りつけてから、

「――お前のような奴の片棒をかつぐのは、もう御免だよ」

と、断るところだ。それを、そんな風にあっさり引き受けてしまったのは、欲から出たことだ……と、思われたくない。事実またそんな気はなかった。

いかにおれの精神が腐っていたからといって、まさか恋敵のお前を利用して、金銭欲を満足させようなどとは、思いも寄らぬ、実はそれと反対、恋敵のお前に儲けさせてやりたい気持だった。