Classici giapponesi con furigana
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きかいなはなし
奇怪な話
豊島 与志雄
Leggi 奇怪な話 (きかいなはなし) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 7130 caratteri · 14 schermate
その遊離した数字が、淡い不安な空気をかもし出す。そして、大きな声や足音を、おのずから禁止する……。
夜更しの習慣の私は、早くから寝静まる寝台車からのがれて、食堂車に腰をすえていた。腹はすいていないし、ゆっくりやるには、いきおい、ビールか日本酒だ。
ところが、時間すぎの食堂車というのが、また変なもので、大抵は、連れのある客というものがない。一人ぽっちの者だけで、それが二人か三人、あちこちの隅に腰を下して、互に見るような見ないような、中途半端な眼付で、何やらぼんやり考えこんで、時々思い出したように、ビールか酒かをのんでいる。ボーイ達も奥に引込んで、カウンターに居残ってるのが、不愛想な投げやりな表情をしている。卓布がいやにだだ白く、貧弱な花が淋しくゆれていた。こんななかでうまかろう筈もない酒やビールを、孤独な客たちは、ただ機械的に飲み続ける。
機械的に飲んでも、酔うのに変りはない。無言のうちに、そしてぼんやりした沈思のうちに、私もどうやら酔ってきて、なつかしい故人たちのこと、親しい友だちのこと、恋人……がもしあればその人のこと、などを夢の中でのように考えながら、現実の汽車の動揺と響きとに全身を、宿命的にうち任せて、もう睡眠の方へ――自分の塒の方へと、食堂車を出で、皆うとうととしてる普通車を通りこして、そして寝台