Classici giapponesi con furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.713 caratteri · 28 schermate
「そんな事はまアどうでも宜いとして――寿美子さん、いつか私が言ったこと――」
小杉卓二はこの間から、寿美子に姉の後を襲って、自分と結婚してくれるようにと申出ていたのです。
「まア考えさして下さいな、――死んだお姉様が、そんな事を望んでいるか何うか、それからして先ず考えなきゃ」
寿美子はそういって、卓二の手をツイと逃げるのです。
こんな場面は、時と処を変えて、幾度も幾度もくり返されました。小杉卓二の心持は、曾て経験したこともないまでに掻き立てられますが、寿美子は卓二を不即不離にあしらい乍ら、一方毎日のように訪問して来るHと、最早唯ならぬ関係にまで近づいて行く様子です。
その間に卓二は、寿美子の身許に対する疑間を捨てたわけではありません。北海道まで探索の手を伸ばして、寿美子の様子を調べましたが、会社が解散されたことも事実、寿美子が身の廻りの物を持って、東京へ行ったことも事実、その辺には何の疑うべき節もありません。
最後に寿美子に気付かれないように、そっとその指紋を探って、つてを求めて警視庁で鑑定させて貰うと、それが何んと見事な渦を巻いた指紋で、夢子が殺された時家の中のあちこちで発見された指紋――多分死んだ由紀子の指紋だろうと推定したものと、そっくりその儘だったのです。