Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Leggi 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.447 caratteri · 21 schermate
裏庭に紛れ込んでこれ丈けの恥を受けたのですから、性根のある侍なら、何とか自尊心を満足させる方法を採るべきですが、村松金之助はそんな張合のある人間ではなく、誰も気が付かなかったのを幸い、組頭に型通りの挨拶をして、その儘自分のお長屋へ帰って来ました。
お主の淡路守は一万五千石の小名ですがそれにしても村松金之助は見る蔭もないが小身者でした。食禄は足軽へ毛の生えた五人扶持、家族もなく身寄もなく、ろくな友達も無い憐れな存在ですが、今年の参覲交代に、幸か不幸か選ばれてお供の端に加わり江戸のお留守居に頤で使われて、来年の春の殿の帰国を待って居るあるか無きかの存在だったのです。
その新田藩中一等の憐れな侍が、人もあろうに淡路守養女――十一代将軍家斉の末の娘の生活の中へ、真っ直ぐに飛込んだのは何という不思議な因縁でしょう。
その晩村松金之助は、夕餉の膳に向かう張合もなく、袴を取っただけの着のみ着のままで、床の中に潜り込みました。頭は鉄瓶のように煮えくり返りますが、気持は妙に冴えて、その日の出来事を、どんな細かい点までも、ありありと記憶に再現することが出来るのでした。