Classici giapponesi con furigana
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ちぎりきぬ
契りきぬ
山本 周五郎
Leggi 契りきぬ (ちぎりきぬ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.757 caratteri · 66 schermate
「今夜の為にこれを飾って置いたんだ……子供らしいと思うかもしれないが、お二人にも喜んで貰いたかったんだよ」
なつは固く身を縮め、蒼白く硬ばった顔で、じっと婦人の画像を見まもっていた。精之助は側を離れながら、囁くように云った。
「おまえの舅と姑だ、挨拶をして、済んだらいってやすむがいい、――なにも考えることはないからね、なにもかもおれに任せて安心しておやすみ、わかったね」
そうして彼は出ていった。
おなつは彼が去るとまもなく北原の家をぬけ出した。東の空が仄かに白んでいるくらいで、街はまだ暗く眠っていた、――しきりに降る雨のなかを、頭から濡れて、はだしで、ただ北へと走った。城下町を出はずれたのも、八丁堤といわれる畷道を通ったのも、なかば夢中であった、……そうしてやがて、浅井川の岸に立って、早瀬の暗い水を眺めている自分に気づき、とつぜん眼のさめたような気持で、濡れた草の上へくたくたと崩れるように坐った。
――堪忍して下さいまし、どうぞ堪忍して下さいまし。
頭のなかで誰かほかの人間が呟いているように、絶えず同じことを繰り返すのが聞えた。
――なつが悪うございました、どうぞ堪忍して下さいまし。